刑務所とは
刑務所とは、法律に違反した犯罪者が裁判の結果「有罪」となり、実刑判決(懲役刑や禁固刑など)を言い渡された場合に収容される、国立の刑事施設になります。
少年院は、少年の更生を目的とし、矯正教育を受けさせることを主とした更生施設となりますが、刑務所は罪の償いを行うべき場所であり、それが前提で運営されています。
刑を執行する場所、すなわち刑罰を受けるところです。
しかしながら、受刑者の更生をさせるための更生プログラムも組まれており、出所後に再犯を起こさないよう様々な取り組みが行われています。
「受刑者の更生および健全な社会復帰」も刑務所の大きな目的の1つで、刑罰を受けさせるためだけでなく、矯正施設としての役割も担っています。
刑務所の実態
刑務所生活において、受刑者の一番の悩みは人間関係です。
受刑者同士の関係性は完全なる縦社会で、古い者が上に立つ、年功序列の世界です。
逆に言うと、刑期の後半になり自分が上の立場に上がっていくことで、ある程度楽な生活になっていきます。それまでの数年間は、辛い生活になるでしょう。
一方で、懲役数年程度の刑期が短い受刑者などは、自分が上の立場になる前に出所を迎えるわけなので、終始きつい生活を強いられることになります。
刑務所のいじめ問題
刑務所では少年院と違い、いじめに遭う確率はかなり高まります。
※少年刑務所内ではどこかしらの部屋・工場で頻繁にイジメが起きていますが、26歳以上の受刑者を収容する普通の刑務所ではあまりイジメはありません。
内容は様々ですが、罵倒されたり、暴力を受けたり、食事を奪われたりなどです。
また、最悪なケースでは排せつ物を食べさせられたりなどもあるようです。
刑務所のいじめ問題ですが、元刑務官によると、これは看守も黙認しているという話もあります。
「今までお前たちが社会の人々にしていたことを、今自分がされている。自分が周りの人をどんな気持ちにさせていたのか、身を持って味わえ」というスタンスなのかもしれません。
大半の受刑者は社会の何の罪もない人々に多大なる迷惑をかけてきた人たちなので、「同じ思いをさせる」というのは、一般的にその対応で問題ないと思われるかもしれません。しかし、必ずしもそうではないのです。
そういう経験をすることでプラスになる可能性もありますが、更生する上で悪影響となる可能性も高いです。また、これだけ人権問題が取り上げられている社会情勢を踏まえると、現代においても刑務官がそういった対応を取っているとすれば、そのうち問題になるのではないでしょうか。
刑務所の過剰収容問題
ここ近年の犯罪多発により、現在国内の刑務所は過剰収容状態になっています。
単独室に2名収容されたり、定員が3名の雑居房に4名の収容、定員が6名の雑居房に7人〜8人収容されたりなど、この問題は深刻です。
1人あたり1畳もないようなスペースで、社会で荒れていた者が複数人で家族以上の生活をするわけですから、その生活空間は最悪です。
そのような生活空間ですから、当然人間関係のこじれが生まれます。
その人間関係のこじれを上手くほどくことが出来なければ、上記のようにいじめの対象となり、悲惨な服役生活を送ることになるのでしょう。
刑務作業の時代遅れ問題
懲役刑の受刑者は、刑務作業を行います。
刑務作業の目的は、受刑者が社会復帰後に仕事にありつけるための「技能習得」です。
これは正しい考えで、職があるか無いかで出所後の再犯率に大きく影響します。
ただし、現実の刑務作業は受刑者の社会復帰のことを想定しているとは決して思えない、原始的な作業が多いといいます。
現在はある程度の改善の兆しもあるかもしれませんが、いまだに紙袋にひもを通すだとか、手作業で鉄を切るだとか、木工で家具を作ったりなど、 古くからの作業が継続されています。
確かにある分野での技能を習得することは出来るのでしょうが、社会に求められている社会人としてのスキルや需要的なことを考えると、 出所後に職にありつけるとは考えにくいです。
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